アムドの南

中国青海省東北部チベット文化圏を中心にした旅の記録です

さよならニャン君

 

六時ごろ目が覚める、おじいさんがお祈りをしている。庭を回ったり、炉で香をたいたり、仏像に祈ったり30分近くやっていた。
私に部屋をゆずり外のベットで寝ていたニャン君が、洗面器に水を入れ運んできてくれた。そして問題のトイレタイムだ。がまんしようと思っていたのだが無理だった。
門の外の蛇口の前に大きなチベット犬が飼われている、その向こうにトイレがあるのだ。はしを通って行けばつなは届かないが、ものすごい勢いで吠えまくる。
そのうえトイレといってもろくに囲いもなく青空天井だ、ヤクの糞を燃やした灰が盛り上げてあり、その横で用を足し灰の中に埋めるようだ。
少しとまどっていると、犬を抑えつけていたニャン君が、畑の奥の方のあぜ道でやれと言ってくれた。少し安心してできたよかった。

 

朝食はツァンパにしてもらった。でも砂糖を入れてこねたせいか昔の麦こがしのお菓子のようになってしまった。
食事が終わると妹が昨日の残り物を片づけに来た。するとニャン君が小言を言いだした、グダグダグダグダなんか言っている。きっと、仕事はきちんとやれとか、おばあさんの仕事をきちんと手伝えとか、変な男にだまされるなとか、言っているのだろう。お父さんが家にいない以上それはニャン君の務めなのだと思う。
妹はチラチラ私を見ながらニコニコしてテキパキ片づけ、ニャン君の言うことなど右から左だ。なんだか日本の昔を見ているようだ。日本ではもう小言なんて絶滅してしまったけど。

 

明日は街に行きます、彼女とデートです。ホテルを予約しておきました一泊します。
そこでまたやるわけね、いいけどね。

ニャン(niang)という音を中国の漢字に置き換えて姓名として使えるのは「娘」しかない。中国人はみんな持ってる身分証には「娘」と書いてあった。
娘好きの娘というわけか。

6000元(10万円弱)した自慢の新車のバイクの前でポーズをとるニャン君。サングラスもしてみました。日本にもいるな、こんな感じのヤツ。

 

迎えのタクシーは7時に来た。

愛すべきニャン君、楽しい思い出をありがとう。