アムドの南

中国青海省東北部チベット文化圏を中心にした旅の記録です

イエローポピーの群生

 

「沢庫」は標高3500mくらいある、「同徳」までの道は平原が続いている。もし標高が低かったらこの辺りは大都会になっていたかもしれない。

平原といっても丸い丘がいくつも続いていて遠くが見渡せるわけではない。

丘はすべて緑の草でおおわれている、まるで緑のカーペットのように。木は全くない、3000mを越えると木は生えないようだ。

この旅行のために買った高度計がいまいち信用できず、それぞれの街の高度がどれくらいで、どんな花や草がどの高さに咲いているのか調べられなかった。やっぱりネットショップで5割引で買うべきではなかった。

道の両側には杭が立っていて鉄線が張られている。各テントごとの境目にも張られている。遊牧民の土地を守っているのだ。

たやすく乗り越えることはできるが。

 

窓からそんな景色を見ていると少しずつ高度が上がっていく。

すると車が停まった。トイレ休憩かと思ったら一緒に乗っていたチベット人の女の子三人がスマホを持って降りていく、反対側の窓の外を見ると、黄色い花が丘一面に咲いていた。

きれいだ、イエローポピーだ。

私もカメラを持って急いで車を降りる、女の子たちは撮影しようと丘を登っていく。柵を越え後についていこうとしたが…。

少しのぼっただけで苦しい、撮影どころではない。ここは4000mちかくあるみたいだ。あぶなげな私を運転手が支えてくれる、丘の上まで行きたかったがあきらめて車に戻った。

 3500mくらいになるとこの花はどこにでも咲いている、でもこんなにたくさんあるのは初めてだ。

しかし女の子たちと乗り合わせてよかった、他のチベット人なら別に気にせず通過だろう、ついてる。

 

途中右手奥に「和日寺/ホル・ゴンパ」が見えた、けっこう大きく、寺を囲む家もたくさんある、車を降りて歩いても行けそうだったが通過。

そして「西寧」と「興海」を結ぶ大きな通りにぶつかった、「巴灘岔路口」だ。いつもここで車を乗り換える、運転手同士のきまりなのだろう。

興海方面はすぐに道が二手に分かれ、片方はマチェンに続いている。みんなそれぞれの行き先の車に乗る。

普通の乗用車が来た、おまえはあれだと運転手が教えてくれた。

去年もそうだったが、同徳までの短い距離を走る車の運転手はなぜかチャラ男ぽいやつと決まっている、オヤジに買ってもらった車でちょっとかせいでいるって感じだ。

今回のチャラ男は特にひどい、同徳は街の中心の大通りに平行して丘の上に道が通っている、店は並んでいるがホテルはない。

チャラ男はどこに行くとも聞かないで、自分が用のある上の通りの店の前に停まり、降りろと言う。私はしかたなく荷物を抱えて長い階段を下の大通りまで降りた。

賓館とは名ばかりの同徳賓館はすぐ見つかった、シャワーなしだ。