アムドの南

中国青海省東北部チベット文化圏を中心にした旅の記録です

オオカミ出現!

 

しばらく美しいなだらかな道を行く。尼さん越しにカメラを構え写真を撮っていると…。
車が止まった、なんだろうと思っていると、隣の男が私の肩をたたいて指さす。

 

ゲ~、オオカミだ!

 

すごい、感激!

 


 

車の前を横切り左の草原へ下って行くとこだった。
チベット人も珍しいらしく、みんな大騒ぎだ。尼さん達もスマホで一生懸命撮っている。車内はさながら大撮影会と化していた。
オオカミはそんな私らを小バカにしたように一瞥して、どこへともなく去って行った。
よく見ていないと大地の色と似ているのですぐに見失ってしまう。あっという間の出来事だった。

 

じつはアムドでオオカミを見るのはこれが初めてではない、3年前にも「瑪多」へ行く途中で見た、4000mを越える舗装道路の横を歩いていた。その時も一瞬だった。

チベット人は仏教徒だから殺生はしない。動物は食べない魚も、しかしヤクだけは食べる。さすがにハダカムギのツァンパやチーズとバターではもたないのだろう。しかし殺すときはイスラム教徒の回族にやらせる。
そんなこともあってオオカミも生きのびているのかもしれない。

そしてもう一つ、なんであんな凶暴なチベット犬を遊牧民が飼っているのかやっとわかった。
たぶん羊たちをオオカミから守るために飼っているのだ、泥棒よけではないのだ。

 

ではもう一度アップで、

 

せっかくで出てきてくれた狼には悪いけど、痩せていて尻尾が丸めてるとこなど少しせこいし顔もでかいように感じる、白昼歩くのはやめてほしい。

やっぱりオオカミは満月の夜がいい、その遠吠えのひと啼きで、テントの遊牧民と羊たちを震えあがらすというのが最高だ。